《退職者インタビュー》ベイカレント・コンサルティングの実像<後編>

ベイカレ実像 業界情報

ベイカレント・コンサルティング退職者へのインタビュー記事後編です。今回は、タイトルごとの年収や過去の刺激的なエピソード、社内政治について記載しています。是非最後までご覧ください。(会社の特徴や実際のプロジェクト内容、”綺麗すぎる受付嬢”については前回の記事をご覧ください。)

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吉沢裕二(仮名) 39歳 中途でベイカレントに入社、退職時の職位非公開
長峰陽 (仮名)   31歳 中途でベイカレントに入社、退職時の職位シニアコンサルタント

大幅に改善した年収

– ベイカレントの報酬が高いと、よく話題になりますね?
吉沢:報酬は私がいたときも良くなっていましたし、ここ数年でもかなり良くなったようですね。
ボーナス込みの大体の年収がこんな水準だと聞いています。

アナリスト:600万円
コンサルタント:800万円
シニアコンサルタント:1,000万円
マネージャー:1,200万円
シニアマネージャー:1,500万円
パートナー:2,000万円
エグゼクティブパートナー:2,500万円
役員以上:2,500万円~+株支給

ただ、退職金がなく、福利厚生もほとんどないので、他のファームと単純比較できない部分があります。また、他のファームと比べると若手はいいと思うのですが、上位の職位は控えめだと思います。上位の職位はスキルアップの機会もない(勉強もしない)まま飼い殺しにされていて総じてレベルが高くないので、他に同じ条件で転職できる先がほとんどないためです。

長峰:関連することとして、報酬が高いことで、ベイカレントの採用が強いという話をよく見かけます。しかし、ベイカレントの採用が強いのは、報酬が高いだけではなく、エージェント経由で転職する場合、年収の数割をエージェントに払うという仕組がありますが、この割合をベイカレントが一気に引き上げたらしいんです。通常は年収の35%が相場のようですが、倍くらい払っているそうです。なので、どのエージェントも真っ先にベイカレントを紹介するということが起こっているようですね。これは非常にうまい手だと思います。

吉沢:エージェントへの支払いが多いせいか、退職の引き留めは結構すごいようですよ。人によっては、報酬を上乗せしたり、社内規定の違反を指摘して留意させたり、あの手この手で引き止められるそうですね。私も報酬アップをちらつかせられましたが、お断りしました。

もともとは徹底したローコストモデル

吉沢:もとはといえば、社員にほとんど還元しない、無駄なコストは使わないローコストモデルが特徴の会社でした。祖業がPCオペレーターの派遣からスタートしているので、どれだけ稼働させて、どれだけコストを抑えるかということを徹底していました。創業者である江口氏が稲盛イズムの信奉者であったことが大きく影響しています。
例えば、ベイカレントはほとんどのプロジェクトが客先常駐です。それによって自社で座席を用意する必要がなく、オフィス家賃が抑えられます。PCも客先で支給されるので、自社ではPCを購入しなくてもいい。当然ソフトウェアも不要。さらに、全ての小口の経費まで営業の承認が必要なので、面倒で経費を申請せずに自分で払ってしまう。
高収益体質を作ってきたのは、創業者が作ったこの「型」です。この「型」がベイカレントの成長を作ったといってもいいと思います。今もこの名残は残っていますね。

長峰:ローコストモデルの中でも、年に2回ほどある社員パーティーはお金を使っているという演出をしていました。ホテルの宴会場で、全社員を対象に立食パーティーが行われます。結構有名なお笑い芸人や、売り出し中のアイドルなどが呼ばれ、芸を披露してくれるので、それなりに盛り上がっていましたね。

モラルなきプロフェッショナル

– 報酬が高くなったということは、ベイカレントのコンサルタントのレベルは高くなっているのでしょうか?

吉沢:PMOにおいて言われたことをやるという意味では、世間的にはレベルが高いビジネスマンということになると思います。しかし、コンサルタントに求められるような示唆を出し、面白い仕事や成果の上がる仕事にできるかというと、それができる人は少数です。スライドも、それっぽいスライドは作れるのですが、うなるようなスライドにはなかなかお目にかかれません。

長峰:転職活動で、ベイカレントのキャリアの市場価値を体感しましたが、やはりベイカレントの給料は高かったのだなと思い知りました(笑)。給与が下がることが前提の案件しか紹介されません。あまり長くいすぎるとリスクだったなと思っています。

吉沢:それはその通りだと思います。ベイカレントでは、教育制度も整っていないため、成長機会を得られるかどうかは上司次第になります。その上司もまともな上司に教わっていないことが多いので、スキルだけでなく、プロフェッショナルとして当たり前のマインドや作法が身についていないことがあります。
ベイカレント出身で上場企業の取締役なんかを輩出できれば、経歴にも箔がつくのですが、外に出て活躍している人と言えば、今のところは同じモデルで起業する経営者か、年収チャンネルの株本君くらいじゃないですかね。

長峰:モラルといえば、営業はかなり何でもありだなと思いました。全く未経験の人を、さも経験があるかのように売り込んだりすることはしょっちゅうあります。私も経験のない領域に経験者として送り込まれるところでした。
かつては受注のために商品券をばらまいて、クライアント側で問題になったこともあると聞きました。探偵を雇ってクライアントの意思決定者の行動を調べたりとかも。

吉沢:その手の話は多いですね。根は体育会系で理不尽な命令も何でもありなので、新人研修で正座させられたり、失敗をした人が坊主にさせられたり、昔はネタには事欠かなかったようですよ。役員で嘘の経歴を掲載していた人もいましたね。今は修正しているようですが。

長峰:昔の話で衝撃的だったのは、社員の年収が流出してネットに書かれていた件ですね。それからというもの情報管理が厳しくなり、セキュリティ上リスクになるようなことはほとんどNGになったらしいですね。クラウドサービスなどもほとんど使えないので、融通は利かないですね。

ボス猿を決める争いに終止符

– 昔の刺激的なエピソードがたくさん出てきましたが、今は変わっているのでしょうか?

長峰:さすがに上場準備の過程でだいぶきれいになったようですね。
今はあからさまなパワハラやセクハラはないんじゃないでしょうか。しかし、そのカルチャーの源は営業組織にあります。上場しても営業優位の組織は変わっていないので、業績が悪くなったりしたときには、何が起きるかわからないとは思っています。

吉沢:営業組織 対 コンサル組織の戦いは、昔からあったのですが、上場時に社長だった萩平氏が、コンサル主導の会社に変えようとして失敗してしまったのです。
コンサル出身のインテリ猿が猿山を下りて、営業のツーブロックゴリラがてっぺんに上ったということですね。

– ずいぶん辛辣な比喩ですね(笑)。お話ありがとうございました。

吉沢:ちょっと悪く言い過ぎたかな(笑)いい会社です!

長峰:良い会社ですよね(笑)

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