《退職者インタビュー》アクセンチュアでの働き方のリアル

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IT系のコンサルといえば最初にアクセンチュアを思い浮かべる人が多いはずです。給与や評価方法は?働き方は?在籍していたことは人生で有利に働くのか?など、アクセンチュアのリアルを在籍期間の違う2名の方に対談していただきました。これから転職を考えている方にプラスに働く内容になっていますので、是非最後までお読みください。

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対談イメージ

古谷洋介(仮名):40代男性。2004〜2012年在籍。最終ポジションはマネージャー。
新谷翔太(仮名):20代男性。2017〜2019年在籍。最終ポジションはコンサルタント。

同じ顧客のプロジェクトをずっとやり続けるのが、基本的なアクセンチュアのキャリア

-アクセンチュアではどのようなクライアントのプロジェクトがありましたか?
古谷:私がいた2000年代後半は2,000人くらいの社員数に対して100以上のクライアントがいました。通信ハイテク、金融、政府、リソース(化学・素材)、プロダクト(製造業)といった具合に、分野ごとに5つのセクターに分かれて仕事をしていました。
新谷:私のいたころ(2017年~2019年)になると名前の知られている企業はほとんどがクライアントだったと思います。少なくとも銀行、証券、保険業界の知名度がある会社には全てアクセンチュアが入っていました。クライアントのカウンターパートは部長クラスが多かったですね。

-具体的にはどのようなテーマのプロジェクトですか?
古谷:私が在籍していたのがIT産業の黎明期だったこともあり、通信ハイテク業界における基幹システム導入のような大きい案件を担当することが多かったです。500億円規模のようなものも珍しくありませんでした。
大きい規模のプロジェクトが多かったからかもしれませんが、基本的には同じ顧客のプロジェクトをずっとやり続ける人が多いです。殆どの人が1つのクライアントしか経験しませんし、1つのプロジェクトだけをやり続けてパートナーになる、”1ジョブパートナー”もいました。
実際には多くのコンサルタントが他のクライアントの仕事もやりたいと思っていますが、会社にレールを敷かれてしまうというジレンマを抱えています。
新谷:同じ顧客に常駐するという点は僕の時代も同じでしたね。ただ、一つ一つのプロジェクトはそこまで大規模なものではなく、昨日今日で違うプロジェクトを担当することも多かったです。プロジェクトテーマはほとんどがPMO案件でした。

報酬面での魅力は下がりつつある

-アクセンチュアといえば給与面で魅力があるイメージですが、その辺りはいかがでしょう?
古谷:私が在籍していた時代にすでに金銭的な魅力は下がりつつありました。
・アナリスト:500万円
・コンサルタント:1,000万円
・マネージャー:1,200-1,500万円
・シニアマネージャー:1,500-2,000万円
というイメージです。業界的にこれが素晴らしく高給かというと微妙ですね。
新谷:僕たちの時代はさらに少し下がりましたね。
・アナリスト:ベース400万円+残業代(固定残業代なし)
・コンサルタント:ベース500~600万円+残業代(固定残業代なし)
・マネージャー:1,200万円程度
・シニアマネージャー:1,500万円程度
・マネージングディレクター:2,400万円程度
というイメージでした。
ただし、Strategyで採用をされれば給与テーブルが高く設定されています。アナリストやコンサルタントだとベースで150万~200万ほど高く、能力が高い人はそちらに異動します。

キャリアカウンセラーによる公正な評価とUp or Elsewhere

-どうすれば昇進、昇格できるんでしょうか
古谷:かつては現場ごとに「組」があって組同士の力関係と組の中の評価で決まりました。だから、派閥争いは当然あるし、その中で評価を勝ち取るための政治的なふるまいは求められます。客からの評価と上司からの評価のずれなどは多かったですね。
そこでうまくやれない人や評価されない人は会社を去ることになる。つまり、「Up or Out」による新陳代謝が行われていたというわけです。
新谷:その点は僕たちの時代とは完全に異なりますね。今はキャリアカウンセラーが各コンサルタントについて、公正な評価をするような仕組みになっています。このキャリアカウンセラーはプロジェクトとは一切関係ない立場の人です。さらに、Consultant以上のポジションのSVが1〜2名プロジェクトを見てくれるので、割と妥当に評価してもらえる印象です。
古谷:それはもう全く違う文化になりましたね。僕たちが若手のころは、シニアメンバーで昇進できない人は会社から出ていくのが当たり前でしたが、今は長く在籍できているという話も聞きます。私の同期の1/4はパートナーにならずにまだ在籍し続けているという話を聞きました。Up or Outの文化で働いていた私からすると考えられません。
新谷:そこで言うと、昇格できない人を異動させるという文化に変わりました。1つの部門で3年間昇格しない場合、別の部門に異動となります。Up or Elsewhereという呼び方をしています。だから、異動は実質その部署での可能性はないと言われたということになります。例外はStrategy&Consultingへの異動でキャリアアップといえますが、これは異動自体がかなりのレアケースです。
あと、ここ最近の動きとして、Manager以上に昇進する女性が、非常に増えてきました。女性だからと言って昇進対象から外れることはまずありえないので、キャリアアップを志している女性にとっては働きやすい環境だと思います。昔みたいに深夜まで勤務するのが当たり前ではなくなり、20時ごろにはだいたい業務終了していますし。

働くメンバーが刺激的な一方、仕事が固定される

-アクセンチュアに入って良かった点、悪かった点を教えてください
古谷:良かった点は一緒に働くメンバーがレベルが高いので、刺激をもらえる点です。成長できるしスキルも身に付いたと思います。
新谷:同感です。いろんな業界出身の人がいるので多様なバックグラウンドや価値観の人と働けるのも刺激的ですね。あとは、上流から下流までなんでも提案できるようになるのも魅力的だと思います。提案業務をすることも多いので、ファシリテーションのスキルやExcelやPowerPoint等、どの会社でも使える汎用的スキルが身につくのも大きいです。
古谷:悪かった点はやはり派閥争いや政治的な動きがあるから、成果を出すだけではだめで、”大人の振る舞い”をしなければならない場面があることかな。
新谷:そこは私はあまり実感したことはないなぁ。私がストレスだったのはConsultantとして入社したのに、下流案件(PMO等)ばっかりやることが多かった点。私が退職した一番の理由になっています。
あとは一つのクライアントやプロジェクトに固定されてしまうため、一度アサインされてしまうとなかなか抜けられない。違う経験を積みたいと思ったり興味を持った案件があってもなかなか携われません。
社員を採用しすぎているので、アサインするプロジェクトがなくてアペイラブル(待機期間)が多すぎるのもいかがなものかと思いますね。もっともアペイラブルの期間はスキルアップに当てられるので、「自己研鑽のタイミング」と前向きに捉えることもできますが。

退職後はコンサルやベンチャーに。起業する人も。

-アクセンチュアで働いた経歴はその後に人生にプラスに働きますか
古谷:上のポジションの人は特に有利に働く印象がありますね。アクセンチュアにパートナーに上り詰めた後、事業会社の役員になる人もいました。上に行けば行くほど転職先もポジションも約束されている感じで、実際に日本ユニシスの取締役やスクエアエニックスの取締役にアクセンチュアの出身者がいます。
新谷:アクセンチュアで働いたことで、私の市場価値が上がったのは感じています。ただ古谷さんがおっしゃるような強いブランド力は、正直昔ほどはなくなったのではないかと。大手企業の企画部門への転職は難しくなってきたと思います。自分の周りだと退職後は別のファームやベンチャーに行く人が多いです。自分でコンサルファームを立ち上げる人もいますね。

-退職時はすんなり辞められるのでしょうか
古谷:所属している組によっては猛烈な引き留めに合う人もいて、辞めるにやめれない人もいました。
新谷:今は基本的に引き留められることはありません。コンプライアンスや法律の関係もあると思いますが、「退職を止めてはいけない」という明確なルールがあります。
ただし、繁忙期の急な退職希望は、タイミングを調整されることはあります。

-お二人を見ていてもやはりアクセンチュアの社員は優秀であることがよく分かりました。
10年の間でアクセンチュアは規模が急速に大きくなりましたが、それに合わせて働き方や企業文化も大きく変わっているのですね。
本日は貴重なお話ありがとうございました。
古谷新谷:ありがとうとうございました。

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