コンサルタントの給与事情

業界情報

就職人気ランキングでコンサルティング会社は上位に顔を出します。おそらくこれは、給料が高く、かっこいい仕事と思われていることが要因でしょう。ただ、果たして本当に給料が高いでしょうか。この記事では、コンサルの労働時間や、事業会社との時給比較をしています。

コンサルタントは高給取りか?

 一般的には、コンサルタントは高額な報酬のイメージがあるでしょう。たしかにトップクラスのコンサルティング会社で結果を残すことができれば、億単位の報酬を得ることができますし、事業会社(コンサルティングファームから見た、メーカーや流通企業、ネット企業などを指します)と比べれば、若手のうちから恵まれた報酬が得られます。
 一方で、「外資系」のくくりでコンサルティングファームと並んで就活人気を集める外資系金融機関では、経営トップが数十億円の報酬を得ていたり、若手でも数千万円の年収を得ています。これと比較すると、同じプロフェッショナルなのに、報酬面の魅力が少ないという意見もあります。確かに、同じようにハードワークをしているにもかかわらず、コンサルタントは外資系金融マンの同年代に比べると、報酬は半分程度のこともあります。なぜなのか?
 1つは、コンサルタントのフィーは、基本的には何人がどれだけ時間を使ったかに対して支払われるため、人間が使える時間に限りがある以上、レバレッジが効かないビジネスであるためです。したがって、こなせるプロジェクト数が大きく変わることがない以上、青天井の報酬体系にはできないという事情があるのです。
 もう1つは、市場における希少性です。外資系金融はやみくもに組織を拡大するわけではなく、必要なポジションが空けば採用するという体制作りをしています。一方でコンサルタントは、どんどん大所帯になってきています。コンサルティング会社にとって、企業としての成長とは、体制が大きくなることとほぼ同義だからです。この結果、会社がもうかっても社員1人がもらえる給与はあまり変わらないということが起きます。

マックの時給

 コンサルタントの給料に関連してよく言われるのが「マック(マッキンゼー)の時給はマック(マクドナルド)より安い」というジョークです。マッキンゼーの給与は高いことは確かだけれど、労働時間も長いため、自給換算したらアルバイト並みだという皮肉を込めた言葉です。本当にそうなのでしょうか?
 マッキンゼーの1年目の職位であるビジネスアナリストの年収を700万円と仮定しましょう。日本のサラリーマンの平均年収が450万円程度ということを考えれば、若手1年目でこれだけの額をもらえることを考えれば、かなりの高給だといえます。1日16時間(朝9時から夜の1時まで)仕事をして、1年に250日働くとすると、時給はなんと1,750円という計算になります。実際には休日も仕事をしていて、などと考えると、時給1,500円くらいが本当のところかもしれません。マクドナルドのアルバイトよりはいい時給に違いないですが、コストパフォーマンスが決して良くない仕事であることが分かります。ジョークの情報は間違っていますが、必ずしも的外れとも言い切れません。

人生いろいろ、給料いろいろ

 「マックの時給」の例えで挙げたのは、戦略コンサルティングファームの1年目の給料ですが、総合コンサル、ITコンサルの場合はどうなのでしょうか?総合コンサルタント、ITコンサルタントは戦略コンサルタントよりも給与は劣りますが、労働時間は戦略ほど長時間ではありません。
 総合・ITコンサルタントの1年目の年収を500万円と仮定しましょう。これでも社会人1年目の年収としてはかなり高い部類です。平均的な社会人1年目の年収は300万円を切る程度ですので。1日当たりの勤務時間を12時間(朝9時から夜の9時まで)として、1年に250日働くとしましょう。この場合、なんと時給は1,670円。あれ、マッキンゼーと変わらない???
 実は、コンサルタント1年目の給与は、戦略・総合・ITいずれも、時給換算するとあまり変わらないということなのです。みんな揃って大して時給はよくないということです(ただし、クライアントに請求するフィーが異なるため(詳細はこちら)ため、戦略コンサルタントは速いペースで給与が上がっていきます。そのため、だんだん差がついていきます)。

コスパが悪い?

 時給計算ついでに、事業会社の仕事を時給換算すると、年収400万円、勤務時間8時間、250日勤務の場合、時給2,000円です。
こうして見てみると、コンサルタントの報酬が高額であることは決して間違いではないですが、長時間労働がゆえの報酬になっており、いわゆる「コスパ」のいい仕事ではないことがわかります。しかし、コンサルタントがファーム卒業後に活躍していることを考えると、報酬以上に、仕事を通じて学べることや、その後のキャリアの可能性が広がることにこそ大きな価値があるといえます。若手のうちにコンサルタントとして割の悪い仕事をすることが、将来大きく果実を得るキャリアにつながるのです。

コメント