フェルミ推定の例題です。日本全体のメール送信数の推定となると膨大な気がしますが、メールは比較的身近なツールですので、自分の経験や友人の状況等を足掛かりに積み上げ式で推計していきます。
(マクロからのアプローチをした例題はこちら)
アプローチ
日本人全員で何通のメールを送っているかということを推計する問題です。 本問で問われているのはは送信する数ですが、見方を変えれば、これはすなわち日本中の人が1日に受信する数と同じです(海外へ送るメールは漏れますが、海外から来るメールはカウントしますので、ほぼ同じ事です)。
自分のメールボックスに何通メールが来ているかは非常に想像しやすいですが、何通送ったかは少し考えてしまいます。 ですので、この問題に対するアプローチは、送信を受信にすりかえた方が簡単です。
すると、次のようなアプローチで算出できます。
(A)人口 × (B)メールの利用率 × (C)1日の受信数
メールの利用者の年代や職業、よって受信するメールの数は変わるでしょうから、セグメンテーションして考える必要があります。
(A)人口・(B)メールの利用率
- 10代
今は10年ほど前と大きく時代が変わり、10代の友人とのコミュニケーション手段の代表はメールからLINE・Instagram等に置き換わりました。
しかしながら、何らかのサイト(Amazonや情報サイト等)への会員登録時には依然としてメールアドレスは必須であり、メルマガや情報収集のメールは受信しているはずですので、ほとんどの方がメールの利用をしているでしょう。
10代には小学校高学年も含まれていますが、この人たちの中にはスマートフォンもパソコンもまだ持っていない人もいるので、それらの人たちを差し引くと、メールの利用率を9割とします。 - 20代~50代
20代になるとほとんどの方が職に就くため、仕事のメールが膨大にやってきます。そして興味のあるものの情報収集メール、オンラインショップからの宣伝メールなども多くくるでしょう。メールの利用率は100%とします。
これは、30代~50代にも同じような傾向が継続しそうです。 - 60代以上
60代以上の世代では、再びプライベートなメールが中心となりますが、さほどたくさんメールが来るとは考えられません。また、携帯はまだ通話だけ、パソコンも使っていないという人がいてもおかしくない世代ですので、メールの利用率を8割と置きます。 - 10歳未満
10歳未満の小学生の利用者は考慮に入れません。6-9歳という5%に過ぎない人口で、しかもメールの利用率も、送信数も少ないセグメントですから、全体への影響は1%あるかないかというくらいでしょう。
(C)1日の受信数
では、そのユーザーが1日にどれくらいのメールを受信しているか、具体的な数字をおいてみましょう。
- 10代:10通
0通(学校・塾)
0通(友人・家族)
10通(情報収集) - 20代~50代:70通
0通(友人・家族)
20通(情報収集)
50通(会社) - 60代以上:13通
3通(友人・家族)
10通(情報収集)
としてみます。
このメール受信数(送信数)が正しいのかということについてですが、スマートフォンのデータ通信量からのアプローチで大幅なずれがないのかを検証してみましょう。
現在最もポピュラーな通信量のプランはだいたい20GBだと思います。
この容量をギリギリ使いきるとして、1ヶ月(30日)で割ると1日あたりの通信量は平均600MBほどになります。
仕事のメールもプライベートのメールもスマートフォンで利用しているヘビーユーザーは通信量の10%をメールで消費するとして、メールで 60MB(60,000KB)/日 消費することになります。
メールは1通あたり500KB程度でしょうから、60,000KB ÷ 500KB = 120通となり
多く見積もっても120通/日程度が限度でしょう。
先ほどの検証では、一番利用頻度の高い20代~50代のメール受信数(送信数)が約70通としていたため、納得できる範囲と言えます。
結果
では最後に、各世代でメールを利用している人口 × 1日の受信数を出してメールの受信数を積み上げてみましょう。
10代:1,080万人 × 10通 = 1.1億通
20代-50代:4,800万人 × 70通 =33.6億通
60代-:3,840万人 × 13通 = 5.0億通
合計:39.7億通
となります。
答え:39.7億通
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