アベイラブルという社内失業

業界情報

コンサルタントは基本的にプロジェクト単位で働きますが、プロジェクトの谷間でアサインされていない時期があり、この状況をアベイラブルと呼びます。この記事を読むと、アベイラブル状態の注意点やプロジェクトアサインの流れについて知ることが出来ます。

アベイラブルとは?

 アベイラブルとは、コンサルタントがプロジェクトにアサインされていない状態を指します。コンサルタントがアサインされていない期間は、クライアントにチャージできていない状況、すなわち収益を生んでいない状態のため、問題視されます。アベイラブルのことを、もっと直接的に、ノンビラブル(non-billable:フィーを請求できない状況のこと)とも言います。
 なぜアベイラブルが発生するのかというと、コンサルタントの仕事は、数か月単位のプロジェクトを次々とこなしていくのですが、そのプロジェクトの継ぎ目に隙間ができてしまうと、その間は仕事がないアベイラブルの状態になるからです。
 会社の都合でプロジェクトがないためにアベイラブルになるのであれば仕方がないですが、あるコンサルタントだけ、次のプロジェクトがなかなか決まらずアベイラブル期間が長くなると、社内失業のような状況になります。事業会社でいう窓際族のような状態です。
 そのような状況でも会社から給与はもらえますが、会社としては高い給与を払っているにも関わらずお金を生み出さないという状況ですので、コンサルタントは非常に肩身の狭い思いをすることになります。プロモーションの機会が失われ、Up-or-Outの制度で退職を余技なくされるような状況もあり得ます。
 ただ、必ずしもアベイラブルが悪いというわけではありません。腕に覚えがあるコンサルタントなら、この期間を利用して長期休暇を取ることもあります。コンサルタントはプロジェクト期間中は非常に激務となり、有給を消化することができないため、プロジェクトが終わるタイミングにあらかじめ旅行の計画をしておく、といった具合です。
 そのため、アベイラブル期間はリフレッシュ期間として、ゆっくり過ごすことが出来る数少ない機会なのです。
休暇を取らない場合は、提案活動の手伝い(資料作成やリサーチ等)や自己研鑽などを行うことになります。

アサインされるためには?

 基本的には、アサイン時に見られるものはスキルと実績です。社内の労働市場で人気のある(=実力のある)人からアサインされていきます。転職市場と似たようなものです。あるプロジェクトでいい評価を得ることができれば、その評判は社内のコンサルタントの耳にすることとなり、次から次に声がかかることになります。継続的にアサインされるためには、スキルを磨き、目立った実績を残すこと、これに尽きます。
 それに加えて、意外かもしれませんが、社内政治の筋を読み、仕事をたくさん取ってきそうなパートナーの派閥入りするという裏ワザもあります。
あるパートナーの下でいくつかのプロジェクトを経験していくうちに、仮に実力はやや不足しているとしても、気心が知れて、働きやすいやつだと認められれば、次のプロジェクトも自分の下で働かない?というお呼びがかかりやすくなります。
 パートナーやマネージャーからしてみれば、プロジェクトの成果を挙げられるコンサルタントを確保することは、プロジェクト責任者である自分の立場を揺るぎないものにすることができるため、重要な業務の一つです。しかし、明確に所属部署が決まっている事業会社とは違って、派閥は決して直属上司部下の関係性ではなく、目に見えないルールでしかありません。コンサルタントはいつだって派閥から離れることができます。そのため、パートナーは、実力を見極めつつも、自分に忠誠を誓ってくれるコンサルタントを探しているのです。

ジュニアメンバーのアサイン方法

 前章で、アサイン時に見られるものはスキルと実績と述べましたが、ではスキルを発揮する場も、プロジェクト実績もほとんどないジュニアメンバーはどのようにしてアサインされるのでしょうか?
 ジュニアメンバーのアサインが決定するプロセスはファームによって様々です。
いくつかの候補者からパートナーがアサインメントを管理している人事部のような部署と話し合いで決める方法や、パートナーと候補者が面談をして両者合意のもとで決定する方法、さらには求人募集のようにプロジェクトがいくつかある中から、自ら応募して面談をするといった方法があります。
 残念ながら、ジュニアのうちから自分の希望するようなプロジェクトにアサインされる可能性は低いです。人気のテーマのプロジェクトは希望者が多く、優秀で実績のある人がアサインされます。
 特に1年目のコンサルタントに多いのですが、「コンサルタントになったのに、すごく地味な作業(議事録の作成等)ばっかりだった」といって退職するコンサルタントもいます。希望するテーマのプロジェクトに入りたい場合、実績を積んで社内の労働市場で価値を高めることが一番の近道といえるでしょう。
希望するテーマのプロジェクトでなかったとしても、成長する機会はたくさんあります。また、一緒に働く同僚や上司も盗むべきスキルはたくさん持っています。
 論理的思考力・ドキュメンテーション・ファシリテーションなどをそれらのプロジェクトで磨いて、いざ希望するテーマのプロジェクトの面談があったときにアピールできるよう準備をしておきましょう。

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