《退職者インタビュー》ベイカレント・コンサルティングの実像<前編>

ベイカレントコンサルティング 業界情報

成長が著しく注目度の高い一方で、”高級派遣”と揶揄されることもある、ベイカレント・コンサルティング退職者へのインタビュー記事です。この記事では、退職者2名に会社の特徴や実際のプロジェクト内容を聞いているほか、噂の”綺麗すぎる受付嬢”についても記載しています。是非最後までご覧ください。

アクセンチュアとの対談記事
デロイトトーマツコンサルティング退職者との対談記事
野村総研退職者との対談記事
ボストンコンサルティンググループ退職者との対談記事
デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー退職者との対談記事

吉沢裕二(仮名) 39歳 中途でベイカレントに入社、退職時の職位非公開
長峰陽 (仮名)   31歳 中途でベイカレントに入社、退職時の職位シニアコンサルタント

急成長するベイカレントの強さ

– ベイカレント・コンサルティングは、急速に成長していますが、どんな会社ですか?
吉沢:本当に急成長・急拡大していますね。私は5年前に辞めて別のコンサル会社に移ったのですが、まだ拡大が続くとは思ってもみませんでした。
ベイカレントは、もともとPC作業者を派遣する事業からスタートしています。その時の社名は「ピーシーワークス」でした。徐々に下請け仕事からプライムの仕事に代わり、さらに上流の仕事をとるようになって、現在のベイカレントの業容になっています。
その名残もあって、コンサルティングというよりは人材派遣モデルに近いビジネスです。コンサルタントが商品であり、それを売る営業がいます。ほとんどのコンサルティング会社がとっている、経験豊富なパートナーが営業をするという組織ではなく、ベイカレントの大きな特徴です。
ですので、他社に比べて営業できる人間が多く、クライアントとの接点が多いのが強みではないでしょうか。システムの下請けからスタートした会社の中で、ここまで大きくなり、上流に食い込んだ会社はないので、非常に稀有な成功例だと思います。

長峰: 自分の会社のオフィスに行くことはめったにないので、実感はなかったですが、毎年多くの人が入社していて、急速に拡大していました。
僕たちのような若手にとっては、とにかく給与水準がいいことが魅力でした。若手に限れば、戦略ファームなどに比べても見劣りしない水準です。その一方で、戦略ファームのようなハードワークでもないため、コスパのいいコンサルタントを志望する「コンサル新世代」にとっては魅力的だと思います。吉沢さんは営業面の強みについてお話しされましたが、採用面での強みもあったと思います。

大手ファームからの人材流入

「コンサル新世代」というのは面白いですね。どんな方が入社しているのですか?
長峰:多くは事業会社やSIerなどからのコンサル未経験での採用が多いのですが、最近は他の総合ファームからの転職が増えてきました。若手の給与水準がいいので、人が移ってきているようです。デロイトの大量移籍の際、EYに移った人も多かったようですが、給与水準にひかれてベイカレントに転職した人も多かったみたいですね。
この人たちの中にはクライアントを持ってくる人もいますので、クライアントも増えたみたいです。

吉沢:僕が在籍していた時期は、あまり他のファームからの流入組はいませんでしたね。一部戦略ファームからの転職組もいましたが、数えられるくらい。ずいぶん変わったんですね。

元祖「高級派遣」と言われるゆえん

– どんな仕事が多いのですか?
長峰:いわゆるPMO案件が多いということになるでしょうね。ただ、PMOとも言い切れない社員の仕事を代替する案件が多く、「高級派遣社員」の仕事です。
よくあるのは小さなプロジェクトのPMOとして会議の運営や、そこに向けた資料作成の依頼です。もちろんある程度主体的に仕事を進めることは求められますが、クライアント側の指示に沿って手が動かせる人を2~3人欲しい、というような依頼です。
アサイン面談では、PMO以外のプロジェクトを希望する若手が多いので、「戦略的」プロジェクトだという言い方で案件を良く見せるマネージャーが多いですが、入ってみると全く違ったなんて言うことが多いですね。

吉沢:全くその通りです(笑)。プロジェクトを提案する側からすれば、こういうリソース補充的な案件は手間がかからないので、獲りに行きたいのですが、若手がなかなか入ってくれない。社内で人を調達する方が苦労しますね。
一部、システム移行や、開発テストを大規模なチームで受けることもありますが、そう多くはありません。分析や調査に基づいて、何かを提案するというようなプロジェクトもあまり多くありません。ですので、これがコンサルなのか?という疑問はありますが、他のコンサルファームを経験している人は少ないので、コンサルってこういうものなんだろうという共通認識になりつつあります。
クライアントの業種でいうと、金融や通信が多いですね。クライアントの数は近年かなり増えているようですが、会社にナレッジがたまる仕組みがないため、他ファームと比べてあまり業種は幅広くないと思います。

– ナレッジがたまる仕組みがないというのはなぜですか?
吉沢:ベイカレントのコンサルタント組織は、機能やインダストリーでカットされていません。ですから、ある領域やインダストリーを突き詰めてキャリア形成することが一般的ではないのです。要するに、単価の高い仕事に優秀なコンサルタントを送り込むからです。
これは他のファームから見るとうらやましいようですね。若手の数年はいいかもしれませんが、中堅になっても、何ができる人なのか定まっていない人があまりに多く、負の側面もあると思います。

長峰:一応コンサルタントにもプロジェクトを選ぶ権利はあります。あるインダストリーに特化してプロジェクトに参加するみたいなこともできますが、評価が稼働率と単価で決まるので、単価の高い案件につられて動くコンサルタントの方が多いですね。それに専門性が培えるようなプロジェクトがあるかというと、そもそもそんなお題があまりないのです。

営業が権限を握り、コンサルを使う組織構造

– コンサルティングファームにとってナレッジは重要そうですが?
吉沢:コンサルタントにとってナレッジは非常に重要ですが、営業にとっては重要ではありません。稼働率と単価が確保できれば、ナレッジがたまろうが、そうでなかろうが、どちらでもいいからです。そして、営業にとって重要でないことは、会社にとって重要ではありません。ベイカレントの組織の幹は営業でできているからです。
まず人事権は全て営業が握っています。コンサルタントの評価は、稼働率と単価でおおむね決まりますので、プロジェクトでのパフォーマンスは、ほとんど考慮されません。なおかつ、パフォーマンスの評価を形式的には上司がしますが、翌年の報酬や昇進を最終決定するのは営業です。プロジェクトでのパフォーマンスのことなど全く知らない営業が決めるわけなので、営業と仲のいいコンサルタントは評価がよくなりますし、そうでないコンサルタントは悪くなります。
そして、経費も営業が握っています。もともと稲盛イズムが好きな創業者の会社なので、本一冊から営業の承認が必要です。コンサルタントの上司がどれだけ偉くても、経費を握っているのは営業なのです。

長峰:確かに、日々の業務ではコンサルタントの上司の目を気にしますが、評価や昇進になると、営業担当に相談しますね。

– それだけ権限を持っている営業というのは、どんな人たちですか?
  業績を見ると相当優秀な営業部隊という印象を持ちますが?

吉沢:営業はBP(ビジネスプロデューサー)と呼ばれ、いわゆるどぶ板営業をやる人たちです。イメージでいうとオープンハウスやピカツー系の営業ですね。コンサルタント経験者はほぼいないので、要件に応じた提案ができるわけではありません。そういったニーズを足しげく通う中で拾って、コンサルタントに提案書をつくってもらい、案件をとる活動をしています。
昔は営業は非常に厳しい組織でした。ホストクラブのような縦社会で、理不尽な要求にどれだけ耐えられるかが試されていました。実際、ホスト出身の営業担当もちらほらいました。みんな「ナンバーワンだった」と言っていましたね(笑)。
営業活動において、コンサルタントはあくまで協力者です。提案書の出来が良くて成果が出たからと言って、明確に評価されるわけではありません。ふんわりと評価されますが、営業が握りつぶすこともできます。

上に行くほどジリ貧に

– 営業が実権を握っているとすると、コンサルタントは昇進していくとどうなるのですか?
吉沢:そこなんですよね(笑)。コンサルタントは人事権を持たないため、明確に自分のシマのようなものを作ることができません。ゆるいチームのようなものはできますが、自分の一存では動かせないチームです。また、自分が評価している若手を昇進させることや、素行の悪い若手の評価を下げることもできません。ですから、ずっとあくまでプレーヤーとしてやり続けるしかないのです。
もちろん仕事の中身は管理側に寄っていきますが、せいぜい派遣社員のSVというような立ち位置です。成長する機会が少なくなってしまいますので、勉強する材料を探しながら努力しますが、社内で切磋琢磨できるような同僚が見つかりません。上から下まで、とにかく勉強しないからです。「自分はこれで食べていく」、「このプロジェクトで成果を出すためにやれることはすべてやる」、といった気概がなく、ただ指示されたことをやって、人間力だけで対処しているので、なにも参考にならないのです。

– 経営層が指導したりすることはないのですか?
吉沢:実は経営層にほとんどコンサル出身者はいません。
ですから、どの分野で稼ごうとか、どの産業をターゲットにしようとか、そういう方針もありません。あるのは大きくしようということだけなのです。今のマーケットが拡大基調なので、そういう意味ではぴったりはまったといえます。
しかし、コンサルタントとして腕を磨きたい人にとっては、得るものがあまりなく、長居をするとぬるま湯につかりすぎてスポイルされてしまうという危機感があります。この危機感を持つ人が少ないことも問題なのですが。

受付は学生バイトで、アナウンサー受験者が多い

受付が美女ぞろいということでよく話題になりますね?
長峰:そうですね。確かにそうです。美女ぞろいでした。
来客用の受付と、社員の窓口になる受付があり、どちらもセントフォースから派遣されているようです。
ただ、コンサルタントは本社に行く機会が少なくて、あまりお目にかかる機会はないですし、しつこく誘ったりすると社内の会議でつるし上げられるようなので、公には誰もアプローチしません。それに学生ですから。もしかしたらこっそりアプローチしている人がいるかもしれませんが、周りで成功例を聞いたことがないので、うまく行かないのか。

吉沢:昔は受付のバイトからアナウンサーになった人がでたことで、アナウンサー志望者がたくさんアルバイトに来ていたそうです。フェンシングの太田選手と結婚した、笹川友里さんもアルバイトしていたみたいですね。他にも局アナになった人がいます。深夜番組にちょっと出るようなタレントさんもいました。
噂では、受付の採用担当者がいるようです。僕もぜひその仕事をしたかったですね。

~後編に続く~

関連記事:《退職者インタビュー》ベイカレ スピンアウトベンチャー「ベイカレクローン」

コメント