スライド作成において、定量的なデータを視覚的・直感的に表すグラフは非常に有効なツールです。
ただし、グラフであればなんでも良いという訳ではなく、伝えたい内容によって使用するグラフの種類は変わります。
本記事を読むことで、どのようなときに、どのようなグラフを使うかを知ることが出来ます。
グラフの使いどころ
グラフは、数字だけでは直感的に分からないことを分かるようにするために、ボディ部分を構成する重要なツールです。(スライドの構成についてはスライドライティングの基本を参照)
ただ、直感的に分かるというのはメリットではある一方、間違えた表現の仕方をしてしまうと別の解釈をされやすいという面もあるので、伝えたい内容によってグラフを使い分ける必要があります。
グラフで伝えることが出来る内容は、大きく分けて3つあります。
①大きさを示す
②トレンドを示す
③ばらつき・相関を示す
①~③でそれぞれ適したグラフは異なるのですが、上記のいずれかを表現したい場合、グラフを使うことで相手により直感的に伝えることが可能になります。
グラフを利用する場合守るべきルールがたくさんありますが、本記事ではあくまで「どのような場合にどのようなグラフを使うか」ということにターゲットを絞って記載し、ルールについては別途ご紹介します。
①大きさを示す
数値の大きさを示す場合は、基本的には棒グラフを使用します。伝えたい項目が複数ある場合(例えば、全体の売上高と商品X・商品Yのそれぞれの売上高を伝えたい場合)は積み上げ棒グラフを使用します。
例えば横軸に年度、縦軸に各商品の売上高を表現することで、各年度の商品別売上高が一目で分かるようなグラフが出来ます。
その他にも高い頻度で利用するのが100%積み上げ棒グラフです。100%積み上げ棒グラフは、調べたい対象の構成比を示すのに適しています。
構成比を示すグラフというと、多くの方がイメージするのは円グラフかと思いますが、実はコンサルタントは円グラフはあまり使用しません。構成比を表す場合、100%積み上げ棒グラフを使う方が良いです。
なぜなら、構成比を円グラフから読み取ると、目線を斜め(つまり、縦と横)に移動させる必要がありますが、棒グラフなら縦に移動させるだけで済むからです。
目線の移動や立体的な表現は、極力避けましょう。(3D棒グラフなんてもってのほかです)
大きさを表すグラフ応用編として、縦軸・横軸ともに大きさを示すことのできる面積図や、増減の内訳を示す滝グラフなどもあります。
面積図は、例えば横軸に「とある地域の各国の人口」、縦軸に「年代別割合」とすることで、「当該地域のうち、各国の人口・比率がどれくらいで、どのような年代の人が多いか」ということが分かります。(図1参照)
②トレンドを示す
トレンドや傾向を示す場合は、折れ線グラフを使用します。折れ線グラフは横軸の項目が線で結ばれているため、傾きが一目で分かりやすいためです。
トレンドを表すため、基本的に横軸は年月日等、時系列が使われることが多いです。
「棒グラフと折れ線グラフの使い分けが分からない!」という方は、何を伝えたいのかということをベースに考えて下さい。
上述のように、大きさを表したい場合は棒グラフ、傾向を表したい場合は折れ線グラフが基本であるのですが、より具体的な例を挙げると、「合計値に意味がない」「各項目の上昇/下降を知りたい」場合は折れ線グラフで、そうでない場合は棒グラフを利用します。
1つの項目の推移のみを表示したい場合は、「合計値=項目の値」であり、「上昇/下降」も棒グラフで分かるので、棒グラフを使っても良いでしょう。
③相関関係・ばらつきを示す
相関関係やばらつきを示すのに適しているのが、散布図・バブルチャートです。
散布図は、例えば縦軸に体重、横軸に身長、といったように2つの項目を並べて相関関係を示します。
縦軸と横軸が比例していれば相関関係があると言えますし、比例していなければ相関関係がないといえます。
比例しているのか比例していないのか微妙なラインという場合は、グラフ要素に「近似曲線」というものを加え、近似曲線のオプションで「グラフにR-2乗値を表示する」にチェックを入れて、数値で比例しているか否かを見分けましょう。
R^2は「0≦R^2≦1」の間になるのですが、1に近ければ近いほど信頼性は高く、0に近いほど信頼性は低くなります。(詳しく解説しているサイトは統計学のサイトをご確認下さい。)
図2では、R^2=0.95となっているため、かなりの相関関係があるといえます。
バブルチャートは、縦軸・横軸に加え、大きさという要素を追加することで三次元的に表現することが出来ます。
例えば、縦軸に市場の成長率、横軸に自社のマーケットシェア順位、大きさに売上高を示すことで、「自社の主力商品であるXは、マーケットの中でどのような立ち位置にいるのか?」ということを分析(PPM分析)することが出来ます。
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