《フェルミ推定》スターバックス1店舗で1日に販売しているドリンクの数は?

スターバックスイメージ フェルミ推定対策

フェルミ推定の例題です。日本全国のスターバックスにおいて平均何杯のドリンクを出しているかを問う問題です。
本問において大事なことは、「ドリンクの提供数を決定づける要素は何か?」ということです。さて、それでは適している要素とは何でしょうか?
お客さんの数?席数?従業員の数?もしくは…?

アプローチ

スターバックスは共通した店の規格、雰囲気で作られています。極端に狭い店舗や、だだっ広い店舗もなく、ある程度の広さの中でゆったりと過ごせるように設計されていますが、実際には満席で、ゆったりどころか、来たけど入れないというお客さんも発生しており、客数で決まると言い切れません。

では席数でしょうか?一見正しそうですが、実はそうともいえません。 なぜなら、席が空いていなければ持ち帰りにするというお客さんもいるからです。つまり客数に含まれるけれど、席数に含まれないお客さんです。
そうなると、席待ちをしているお客さんがいても、コーヒーを作る人は休むことなくフル稼働中という状態になります。
これは、レジをすませた後、ドリンクを受け取るのに時間が、お客さんの回転を決めているということになります。したがって、
(A)ドリンクの時間当たり提供可能杯数 × (B)稼働率 × (C)営業時間
で計算することにします。

(A)ドリンクの時間当たり提供可能杯数

時間当たり提供可能杯数を出すと言ってもパッと出てこないため、ドリンクのセグメンテーションをしてセグメントごとに考えます。
①時間がかからなさそうなコーヒー類②エスプレッソマシンを使うエスプレッソ系③フラペチーノ系にしようと思います。

①時間がかからなさそうなコーヒー類
 最近はコンビニでコーヒーのカップを購入してマシンで作ることが増えましたが、ボタンを押してから作り終えるまでの時間は30秒ほどです。
スターバックスも、同じようなものでしょう。これにフタをしたり提供する時間を加味して、1分で提供可能とします。
②エスプレッソマシンを使うコーヒー類
 エスプレッソ系は、圧縮の一手間がかかるのでもう少し時間がかかります。さらに、カプチーノ等だとミルクを泡立てる時間も必要になりますので、コーヒー抽出1分、泡立て作業1分、提供30秒。ここまででお客様に提供はできるのですが、さらにマシンの清掃等30秒かかるとして、1杯提供するにあたり、マシンは約計3分稼働しているとします。
③フラペチーノ系
 こちらは材料(フレーバー材料や氷)等を混ぜる時間を1分、とミルクを泡立てる時間1分、提供を30秒、マシンの清掃等30秒として、計3分で提供可能とします。

 さて、平均の提供可能杯数は①・②・③それぞれの提供される数を加味した比率で加重平均しても良いのですが、単純平均でも大きな差分が生まれないでしょうから、今回は単純平均で、((1 + 3 + 3 ) ÷ 3)で2.3分ということにします。

60分 ÷ 2.3分 = 26杯

上記は、1台あたりの提供可能杯数ですが、故障した際のリスクヘッジもかねて複数台保有しているでしょう。
一方、高級なマシンを余分に持つと費用がかさばるほか、スペースを圧迫するなどの懸念事項もあるため、必要最低限に絞ると思われるので、店舗当たり2台保有していると推定します。すると、
26杯 × 2台 = 52杯
以上が、1時間あたりの提供可能杯数となります。

(B)稼働率

稼働率は時間帯ごとに変わってきます。 まず、考える切り口として稼働率100%となるのは何時頃か?から考えてみましょう。
ここでいう稼働率100%とは、席がいっぱいということではなく、コーヒー1杯を作るより早いペースでお客さんが来店する状態です。
稼働率を考えるにあたり、どこに立地しているかによって大きく違いが生まれそうなので、①ビジネス街②住宅街③商業施設内の3つのセグメントで、平日・土日に分けて考えたいと思います。
100%ではない時間については、70%、50%、30%と刻んでも良いのですが、バリエーションを作っても恣意的な数値になるため、シンプルに一律50%とします。
最も想像しやすい平日のビジネス街から考えてみます。

ビジネス街・平日
 ビジネス街の平日は、出勤前(7時~9時)・昼前後(11時~14時)・退社後(17時~20時)の稼働率は100%近くになるのではないでしょうか。
それ以外の時間の稼働率は、一律50%とします。
ビジネス街・土日
 一方、土日になると稼働はかなり低下し、100%になる時間はないといっても良いのではないでしょうか。
ここは、全時間帯で一律50%とします。
住宅街・平日
 ビジネス街を基準に考えると、出勤前に住宅街のスターバックスに入る人はそう多くなさそうなので、朝のピークはなしとします。
昼のピークはビジネス街と同様に訪れるでしょうが、夕方のピークは帰宅時間の分だけビジネス街の店舗とタイムラグがあると考えます。
住宅街・土日
 住宅街の平日を基準に考えると、土日の朝はゆっくり活動される方が多いと思われるため、100%の稼働率には到達しないと考えられます。
昼の時間帯は、平日と利用する層は変わる(平日は学生・主婦中心、土日は会社員や家族連れ)ものの、やはり需要は高いと考えられ、昼前後の稼働率は100%とします。
夕方も、同様に利用する層は変わる(平日は学校・会社帰り、土日は遊びやショッピングの帰り)がピークは同様と考えます。
商業施設内・平日
 ビジネス街を基準に考えると、朝のオープンの時間帯が遅いためピークがないと考えらえます。
一方昼のピークは同様に訪れるでしょうが、夕方のピークは、買い物途中の来店が多いことを考えると、前倒しでやってくると考えられます。
商業施設内・土日
 商業施設に最も人が入るのは土日ですから、11時頃から16時ごろまで継続して稼働率は100%近くなるのではないでしょうか。
実際、私がそれぐらいの時間に行って行列に並ぶことなく購入ができた試しがないです。
一方で、夕方以降は商業施設内の人数は減少する一方ですので、夕方以降の稼働率は高くないでしょう。

以上で立地・時間別に稼働率が100%になる時間は分かりました。

(C)営業時間

 営業時間も、立地と平日・土日に分けて考えたいと思います。
ただ、細かく営業時間を分けても良いのですが、稼働率と同様恣意的に見えることを防ぐため、7時ー22時、9時ー21時の2つの営業時間でどちらが適しているか?ということを考えます。

ビジネス街・平日
 ビジネス街は朝早い人から夜遅い人までいるので、7時ー22時とします。
ビジネス街・土日
 土日になると人が集まらないため、そう長く開けることはないでしょう。9時ー21時とします。
住宅街・平日
 ビジネス街と同様朝早い人から夜遅い人までいるので、7時ー22時とします。
住宅街・土日
 朝はゆっくりしている方が多いため、9時ー21時とします。
商業施設・平日
 一部の店舗では商業施設に先駆けてオープンすることもあるでしょうが、基本的に商業施設と同じと考え、9時ー21時とします。
商業施設・土日
 商業施設の時間は平日・土日ともに変わらないことが多いため、平日と同じと考え、9時ー21時とします。

答え

 以上の各要素を加味すると、各セグメントの下図のようになります。

 1週間のうち平日は5日、土日は2日ですから、平日と土日の加重平均をとると、1時間あたりの平均提供数は36.7杯、営業時間は13.5時間となります。
よって、答えは
36.7杯 × 13.5時間 = 495杯
となります。
495杯ということは、ドリンクの平均客単価が500円とすると1日のドリンクの売上高が25万円程度になり、他にもケーキや雑貨等の売上を加味すると、悪くない数字ではないでしょうか。

本問ではビジネス街・住宅街・商業施設にあるスターバックスの数を同等として考えていますが、より緻密にするためにはそれぞれの店舗数を出してこちらも加重平均するとより精緻になります。が、これもまた恣意的になりかねないため、そこまで正確に出す必要はないでしょう。

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