フェルミ推定は、正解を出すことにはあまり意味がありません。答えにたどり着くまでの過程に意味があります。この記事では、面接時にどのような観点を見られているのか、出題者の意図をふまえた解き方を解説しています。是非最後までご覧ください。
フェルミ推定を通して何を見ているのか?
フェルミ推定は、一見答えがなさそうな問題に対して、どのように切り口を見つけるか、そしてそれを論理的に解ききることができるかといった、コンサルタントに必要な問題解決能力の足腰の部分を問うための問題です。
極端なことを言えば、答えが全く明後日の方向になったとしても、プロセスが面白ければパスすることができます。
反対に、たまたま出題された問題の答えを知っていて、正解を出せたとしても、それは何の意味もありません。フェルミ推定は、知識を問うているわけではないからです。
したがって、面接の中で仮に答えが出せないとしても問題はありません。出題者は、問題解決にあたる過程を通して、論理的思考力や、思考の柔軟性、対人能力、ストレス耐性などを見ています。
・論理的に組み立てができる
・視点を切り替えながら柔軟に議論できる
・不自然ではないインタラクションを取れる
・相手の質問のプレッシャーに冷静に対処できる
これらで合格点を得ることができれば、フェルミ推定はパスできるのです。
要点はアプローチ、因数分解、セグメンテーションの3つ
では面接官は、考えるプロセスのどのようなことを重視しているのでしょうか。
特に重要なのは3つの要素です。
- アプローチ
- 因数分解
- セグメンテーション
アプローチとは、問題を解く大きな方針のことです。
典型的なものでは帰納的にボトムアップで解くか、演繹的にトップダウンで解くか、といったものがあります。
例えば、「東京のタクシーの1日の売上はいくらか?」という問題に対して、帰納的な解き方は、1日を時間帯別に分け、さらに空港やホテルビジネス街などのエリアに分けて推定売上を積み上げて解くような方法です。
一方、演繹的な解き方は、例えばタクシー業界の売上÷1日に稼働している台数、というシンプルな概念の構造整理からスタートし、それぞれの要素を求める方法です。
機能・演繹といった概念のほかに、需要サイドと供給サイド、売上とコストというように、いくつもの視点から複眼的に物事を見ることができるかが試されます。
東京のタクシーの売上
次に、因数分解は、事象を数式化することです。ちょっと大げさですが、モデリングというとわかりやすいかもしれません。
シンプルな例では、売上を推計するために、要素に分解します。
売上=販売数量×販売単価
いくつかの販売チャネルに分けて考える必要があれば、次のようにも分けられます。
売上=通販チャネル販売数量×通販チャネル販売単価 + 店舗販売数量×店舗販売単価
あるいは、継続的に利用されるサービスの売上を求める場合は、次のようなモデルの方が理解しやすいかもしれません
売上=販売単価×(前月契約数+新規契約数ー解約数)
このように、どのような切り口にすればビジネスの構造に合った数式になるのかを考えることが重要です。
1つ、このモデルを考えるうえで重要な概念をご紹介しておきます。それは、フローとストックという考え方です。
フローは取引されて動いている量のことを指し、ストックはある時点で存在している量のことを指します、「日本に電柱は何本あるか?」という問題はストックを問う問題ですが、「毎年何本の電柱が新たに作られているか?」という問題はフローを問う問題です。これらは全く違う概念ですが、期間の概念を入れることで結び付けることができます。
例えば、電柱の耐用年数を用いて、以下のような計算式が成り立ちます。これは因数分解の中で慣れておくべき概念です。
「新たに作られている電柱の数」=「日本にある電柱の数」÷「電柱の耐用年数」
(前提として、日本にある電柱の数は一定とする)
問題を解くことで得るべきは、知識よりもセンス
練習することでフェルミ推定は飛躍的に簡単に解くことができるようになります。
練習をする場合に気を付けなければならないことは、決して知識として数字を覚えたり、解き方を暗記することではなく、
やはり基本の要素であるアプローチ、因数分解、セグメンテーションの3つの引き出しを増やし、使いこなせるようになることです。
知識よりもセンスが重要と言っていいでしょう。センスと言ってしまうと、才能のように誤解されてしまうかもしれませんが、経験を積むことでパターン認識できるように反射神経を鍛えるようなイメージです。
インタラクションを求めながら進めると、ヒントをくれる
フェルミ推定は、ペーパーテストではありません。あくまで面接の一環として行われるものです。面接官との会話をすすめながら考えればいいのです。問題を確認したり、考えているプロセスを相手に見せることで、面接官が考え方のヒントをくれることがよくあります。
必ずしも自分の頭だけで勝負する必要はなく、相手の頭も使いながら進めることが大切になります。
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