ジュニアコンサルタントが最初に躓く難関「議事録」の作り方

仕事術

ジュニアコンサルタントが最初に任される業務で代表的なものが、議事録の作成です。
この記事を読むと、”なぜ議事録を作成する必要があるのか”について分かるほか、コンサルタントが作成する議事録のレベル、作り方のコツが分かります。

たかが議事録と侮ることなかれ

 この記事をご覧頂いている皆さんも、一度は議事録を書いたことがあるでしょう。
もしかしたら、「なぜこんなものを作らなければいけないのか」と疑問に思っている方もいらっしゃるかも知れません。しかし、議事録はいざというときにコンサルタントの身を助けてくれる重要なものです。

 議事録の役割は、決定事項を振り返る際の証拠、会議不参加の方への情報共有、会議で発生したタスクの確認といったものが挙げられます。
中でも重要なのが、決定事項を振り返る際の証拠としての価値です。
言った・言わないの水掛け論になった際には議事録を確認し、記載していれば言った、記載していなければ言っていないという結論になります。
もちろん、それでも書いてないけど言った!と主張してくる方もいるでしょう。
そのようなことを防ぐために、議事録を作成したら参加者全員にレビューを回しましょう。

 特にコンサルティングプロジェクトは、クライアントとコンサルファーム側で言葉の使い方や解釈が異なるなど、会議の後に認識がずれることが発生しがちなため、議事録の重要性はさらに増します。
上手くいっているプロジェクトの場合は問題ないのですが、クライアントとのコミュニケーションが原因で炎上しているプロジェクトだと、議事録は自分を守ってくれる盾になり得ます。

 例えば、「あの時こう言ったのに、なぜ違うことをやっているんだ!」なんて怒られたけれど、「そんなこと言われてない(むしろ真逆のことをやれと言われた…)」という経験をしたことも多いでしょう。
クライアントから、「言ったことをやっていないのにお金を払うつもりはない」と言われることもごく稀にありますが、そのような時に議事録に記載されていないということは大事な証跡になります。
もちろんクライアントとの関係性は非常に重要ですので、面と向かって「議事録に書いていないので、そんなこと言われていないです」と言うことなど滅多にありませんが、本当に困ったときには上司や会社に相談する材料となります。

コンサルの議事録は、発言録ではなく、「So What」

 一般的に議事録というと、発言した順に文字を起こした発言録になっている場合が多いです。
一言一句文字に起こすということを好む上司の方もいるので必ずしも否定するつもりはありませんが、作業の工数がかかる割には得るものが少ない議事録になりがちです。
ある特定の言葉を拾うために何回も録音を再生して…というように膨大な時間をかけて議事録を書くこともよく聞く話です。そうやって苦労して書いた割には、話し言葉を多く使われているため、文字おこしにとどまった議事録になり、残念ながらすぐに頭の中には入ってきません。

 一方でコンサルタントが作成する議事録は、「So What」につながる部分のみを抽出した、簡潔なものとなっています。
議事録を作成するうえで重要なポイントは、①口語を使わず、文語に統一する②論点以外は記載しない③会話を構造化することです。

①口語を使わず、文語に統一する
 口語は話し言葉であり、文章にすると分かりにくいことがあるので、議事録には文語を使いましょう。

現代日本語の文語と口語との差異
~中略~
常体(だ・である体)と敬体(です・ます体)があり、文章では主に常体が用いられる。修辞的な効果を狙ってわざと口語的表現を使うこともある。
文語は、規範文法に従う表現が多く使われ、ら抜き言葉などの表現を比較的避ける傾向がある。
口語は、語句の省略や語順の倒置が頻繁に行われ、文法的には不完全であることが多い。
漢語などの中には口語ではあまり用いられない語彙も用いられる。

Wikipediaより

②論点以外は記載しない
 人間の頭は多くのことを理解しようとすると混乱してしまうので、議事録への記載内容を必要最低限記載することで重要なポイントとして理解しやすくなります。
会議に出ていると、話が脱線してあらぬ方向に行くことはよく見る光景だと思いますが、会議のアジェンダ・論点から外れている場合は原則議事録には記載しないでおきましょう。
そのためにも、会議のアジェンダ・論点は何か?ということは、事前に整理しておくことが重要だといえます。

③会話を構造化する
 3つの中で最も重要で、かつ難しいポイントです。
会議では、話が行き来してしまうことが多いです。
行き来した内容をそのまま記載すると、前述した発言録になってしまいます。
「どの発言が発端となってどのように発言が枝分かれして、この論点をもう少し深堀した論点がこれで・・・」ということを考えて、レベルごとに段落を分けるなどして、論点や発言の趣旨が分かりやすくなるようにまとめましょう。
また、そのプロジェクトの知識や業界知識・用語、部署の立ち位置等を理解していなければ話を構造化する以前に会議の内容を理解できないので、事前にしっかりとインプットしておく必要があります。

事前に会議の流れを想定しておく

 コンサルファームで一番最初に経験する業務の可能性が高い議事録作成ですが、初めのころは議事録を作成して上司にレビューしてもらい、その後修正して・・・ということを繰り返すと、完成までに丸一日かかることがあります。
大げさに思われるかもしれませんが、私の周りに議事録を書くことができずにメンタルをやられてしまった人もいます。
それでも、慣れてくると会議後が終わって10分後には完成させることが出来るようになります。なぜそのようなことができるかというと、会議が始まる前からアジェンダや論点を事前に想定し、ある程度構造化できているからです。
つまり、会議が始まる前から議事録の作成は始まっているのです。

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